キラリ クルール
細く長い道が続くその向こうに、
甘い香りが漂うフルーツに囲まれた
小さな村がありました。
キラリちゃんは、このお城で執事とメイド、
パティシエの3人と暮らしていました。
執事のカチリは、真面目でしっかり者。
メイドのフワリは、優しくて楽しいことが
大好きな明るい女性です。
パティシエのペロリは、スイーツが大好きで、
いつも特別なスイーツ開発に一生懸命です。
みんな、素直で元気な
キラリちゃんが大好きです。
いえいえ、村の人たちみんなが
キラリちゃんを大切に思っていました。
広い農園で、心を込めてフルーツを作っている
おじいちゃんとおばあちゃんも、
キラリちゃんがお手伝いに来る日を
いつも楽しみにしています。
お⼿伝いが終わると、子どもたちと
毎⽇のように遊びにでかけます。
そして、おやつの時間になると、
お友だちみんなをお城に招いて
ペロリの特製おやつでお茶会を楽しむのです。
キラリちゃんのパパとママは、
仕事で遠くに行っているのでなかなか会えません。
それは、お友達も同じでした。
ある⽇、キラリちゃんは、
「お友だちのパパもママもおじいちゃんも
おばあちゃんも呼んで、スイーツを食べながら
楽しくおしゃべりしたい！」
と、カチリ、フワリ、ペロリに相談しました。
「それはいいですね！」
カチリが言いました。
「とても楽しそう！みんな喜ぶわね」
フワリが言いました。
「それなら、私はみんなが喜ぶような
スイーツを作らなくちゃ！」
ペロリの手に力が入ります。
何日も何日もペロリはスイーツ開発に
取り組みました。
ペロリが腕によりをかけて完成した
そのスイーツは、
村のみずみずしいフルーツをふんだんに使い、
ほっぺたが落ちるような、
とびきりおいしいスイーツ。
「パクッ」スイーツをひとくち頬張ると、
笑顔になれる
特別なスイーツが誕生しました。
そして、 村のみんなをお城に招待して
お茶会“ kirary couleur 〜キラリクルール〜 ”を
ひらきました。
「キラリちゃんからもらったスイーツはね、
食べると何だかワクワクしてくるんだよ」
ちょっと内気な親友の女の子も、
ニコニコしながら嬉しそうに話しました。
「フルーツがいっぱいでとってもおいしかったね」
親友の弟は、
どうやらとっても気に入ったようです。
「フムフム、これは初めて食べる味だね！」
親友の姉弟の隣に住む好奇心旺盛な男の子は、
さっそくスイーツの味について
研究しているようです。
「自分でおいしいフルーツを作ってみたい！」
いつしか、子どもたちはそう思うようになり、
キラリちゃんと⼀緒に村の農家のおじいちゃんの
フルーツ作りを⼿伝いはじめました。
すると、他の農家さんたちも、
「もっとみんなに喜んでもらいたい！」
「もっとおいしいフルーツをつくりたい！」
「この街でフルーツづくりが続くように、
子どもたちにも教えたい！」
と、たくさんの夢を口にするようになりました。
「俺が育てているいちごは、甘くてみずみずしい。
自信を持って勧めることができる味だ」
いちご農家のハッピーさんが真剣な顔で言いました。
「いつも思うんだよ。いちごを食べて、
みんなが幸せになってくれたらいいなって」
「うん、ハッピーさんが育てたいちご、
すごくおいしいよ！私、だーい好き！」
キラリちゃんは、ニコニコしながら言いました。
「そうかい？それなら良かった」
ハッピーさんは、そう言って少し微笑みました。
「おいしいフルーツがあれば、スイーツだって
おいしくできるだろう？
もちろん、安全でなくちゃいけない。
だから、俺たちの仕事は責任があるんだよ」
農家さんたちはみんな、一生懸命フルーツを
育てていると知り、
キラリちゃんは何かを感じたようです。
「真心を込めてフルーツを作ってくれてありがとう」
それは、キラリちゃんの素直な気持ちでした。
「いやいや、こちらこそ俺たちが育てたフルーツを
絶品スイーツにしてくれて嬉しいよ！」
農家さんたちはみんな笑っていました。
「これからも大切に育てていくから、
どんどんおいしいスイーツを作ってくれって、
キラリちゃんのところのパティシエさんに
伝えてくれよな」
キラリちゃんはお城に帰ると、
ペロリにハッピーさんの気持ちを伝えました。
「わかりました。私も頑張らなくちゃね！」
大切に育てられたあま〜いいちごがあれば、
どんなスイーツもおいしく仕上がります。
ペロリの頭の中には、さっそく
いろんなアイデアが浮かんでいるようです。
ペロリが作ったスイーツは、
おいしいだけじゃない、楽しいだけじゃない！
フルーツを作った人の気持ちを
大切にしたスイーツ。
育てた人も食べた人も元気にする、
魔法のスイーツなのです。
